ナベシャツができるまで

ナベシャツ研究開発者より

私がアジアンドラッグに入社する、コスチュームデザイナーとしてアジアンドラッグに入社し、まず最初に任された仕事がナベシャツの研究開発でした。
私はトランス君に会うまでオナベの方に会ったことはなく、 初めてこの話を聞いたときは、あまりにも自分の生活からかけ離れているような気がして、出来るのか不安でした。

正直に言うと、まず、オナベの方が存在するという事実に私はびっくりしていました。
オナベの方やオカマの方のことは、メディアで取り上げられたりしているので、いるんだろうなとは思っていましたが、 実際に会ったこともないし、テレビで言ってることは、どこまで本当なんだろう?という思いもありました。
ただの女装、男装趣味とか、メディアの話題になりたくて手術してるのでは?などと思ったりしていて、性同一性障害という深刻な障害であるだなんて考えたこともありませんでした。
しかしトランス君に会って、性同一性障害に悩む人々がたくさんいるということを知りました。

私がトランス君に初めて会った時は、まさかオナベであるだなんて考えもつかず、男性社員の一人であると思っていました。
ナベシャツの事について社長と話している時に、会社にオナベの人がいるということは聞いていたものの、
一体誰だろう?いつになったら会えるのかな?などと思っていたら、トランス君がオナベだと知り、本当に驚いてしまいました。
当時のトランス君は、腰用のサポーターで胸をつぶしていました。 声も低く、髭も生えていました。
腕も女性のぷよぷよしたものではなく、血管が浮いていて、がっしりした筋肉質の腕でした。
私は何の違和感も感じずにトランス君を男性だと思っていました。

トランス君は、手術はしていなくても、外見は男性であり、
私が同じ職場で男性としてトランス君に接していても何の問題も無いですが、
戸籍上は女であり、それ故、免許証や保険証など自分を証明するものが女性になっているわけだし、
ナベシャツを脱いだら乳房があり、男性の性器が生えているわけではありません。
精神と身体のギャップに私の想像など及ばないようなストレスを感じているのだと思います。
手術をして戸籍上の性を変える事も出来るのですが、それは簡単なことではありません。
また、身体のどこか一部が悪いという病気ではなく、精神にも深く関わる障害なので、簡単に性転換手術をしてしまうわけにもいきません。
性同一性障害に方も、強く性転換を望む人もいれば、生まれ持った身体で生きていこうと考える方もいて、様々です。
ナベシャツを作り始めてから、何人かのオナベの方にお会いする機会がありましたが、
手術することや、ホルモン注射を打つ事に対しては、皆さん、考えは様々でした。
やはり、それらの後遺症のことや、一生涯の自分の身体を考えると、
どの選択がいいのかは、人それぞれであるのは当然です。
ただ皆さんの共通した思いは、「今のところは手術せずに、胸をつぶせるいいものがないものか?」ということです。

トランス君と出会ったことや、ナベシャツの研究を通して、性同一性障害についての知識は以前に比べると増えましたが、まだまだ勉強不足であります。
これからもいろんな方の意見を聞き、 よりよい商品作りのためにがんばろうと思います。どうぞ宜しくお願いいたします。

■アジアンドラッグのナベシャツが出来るまで

ナベシャツの製品開発に費やした期間は3ヶ月。
社員全員が実際に着用実験して納得のいくものを作りました。
(あまりにも苦しくて音をあげたこともありました!)
一番暑くてムレやすい夏に色んな素材のものを作っては試着して、
最も快適にすごせる最高の製品を目指しました。

■実験段階で気をつけたこと

苦しくないように
暑くないように
乳首が押さえつけられるように
ゆるくないようにかつぴったりと締められるように
着ながらでも快適に仕事が出来るように
外見が自然になるように
海など肌が露出する場所でも見えないように

<実験方法>
着用したまま生活。8時間は着用

<実験結果>
・コルセット(バリバリ)

真夏に8時間着用。
弊社のトランス社員さんを初め他の男性社員含めて着けたまま仕事をしましたが、これでは仕事になりません。
熱いし苦しいしずっとは着けていられない、という結論を得ました 。
また弊社のトランス社員さんの感想によると、コルセットだと胸は板のように平らに潰せはするけど、Tシャツを着たときのラインが不自然になるとのこと。
(ちなみにコルセットはマジックテープがついてるから別名バリバリという)
また、荷物の上げ下げなどをやればずれるし、胸があればある人ほどよりずれることを発見。
そんなときトイレでこっそり直すのは煩わしい。
痩せてる人はずれることは少ないかもしれないけど、もともと腰用で肩にかける紐がないからちょっとずつずれることはあるかもとのこと。 女性用矯正下着

ウェストを締める部分で胸を潰すように着てみました。
これはまず着づらいし、とにかくキツすぎる。
苦しすぎて具合が悪くなることもありました
。胸を潰すのが一番大切だから、全体的に苦しい必要はないということが分かりました。
すこし太目の体型の人でも苦しくなく着れるような締め付け具合を考えはじめました。

・さらし(昭和40年代の主流だったらしい)

巻くのが大変。
苦しい。
自分では巻けない。
彼女がいないとどうやって巻くねん!(弊社のトランス社員さん談)
どれくらい苦しいかというのは、着物の帯をずっと巻いてるのを想定してくれればと思います。

・チャック・ジッパー製のもの

金具チャック部がおなかに当たると冷たい。違和感がある。チャックだと締め付けが甘い。

木綿製のもの
吸収率がよく、汗を吸い取るから快適だけど、木綿だから伸び縮みしなく体型が変わったら着れなくなる。だから多少体型が変わっても対応できる伸縮性のある素材にする必要があることがわかりました。

・ 海にいった場合
バリバリを着けながら海に入るとTシャツが濡れたときに線が不自然。

・Tシャツやタンクトップなどゆったりした服の下に着た場合
前かがみになったときに上から見えたり、脇のところからチラッと見えたときに、ぴったり押さえたものでないと違和感がある。

<その他実験で分かったこと>

胸の部分は布を厚くして乳首がきちんと隠せるようにする。 胸以外の部分はムレないように生地を薄くする。
素材は木綿は乾きにくいけど、ネットならすぐ乾くし、熱くない。
柔軟性を持たせないと、防弾チョッキのようになって不自然。
形がブラジャーみたいだったり、不自然なものはちょっと。。。
だからオシャレなランニング型にして、見えてもかっこいいものになるよう、ファッションにも気を配るようにしました。みなさんの意見をどんどん取り入れてこれからも改良をしていきたいと思っています!お使いになった感想などぜひお聞かせ下さい!

HOMEへ
(C)AsianDrug 2003-2005